何で完全なんだ??



ピアノなんかで、音を決めるのを調律といいますよね。
これは、つまりどの音をどの周波数に割り当てるかということです。
今のピアノは、平均律というもので調律されているらしいです。
平均律では先に書いたように各音に同じだけの差を持たせて作ります。

ほかに、純正律というものがあります。平均律以前はこれだったようです。
これは、各音の周波数差をきれいな整数比にしたものです。
オクターブ上だと2倍、P5だと2:3(1.5倍)、P4だと3:4というように、きれ
いな数で示されます。

純正律の周波数比
P1 1:1   1.0
M2 8:9   1.125
M3 4:5   1.25
P4 3:4   1.33333...
P5 2:3   1.5
M6 3:5   1.6666...
M7 8:15  1.875
P8 1:2   2.000

きれいな数で示すとよく響くのです。それは理由があります。
めんどくさいけど、書いてみましょう。

1. 楽器の音はある固有の周波数のみが鳴ってるのではなくて、その音の2倍、
   3倍の音も一緒になっているのです。
   ピアノでAが440Hzとかいいますよね。ピアノでAのキーを叩いたときには
   440Hzのほかに、880Hzや1320Hz 1780Hzがでてくるわけです。
   この上に出てくる音を倍音といいます。この倍音がどのくらい強くでるか
   とか、どの倍音がよくでるかとかで、楽器の音色は決まるのですね。

2. ある音とある音を同時に鳴らせた場合、その2つの音の周波数の差と和が出て
   きます。
   440Hzと660Hzを同時に鳴らせたら、440+660=1100Hz 660-440=220Hz
   が出てくるわけです。

   すると、440Hzのラと、そのP5であるミを鳴らせた場合、どうなるのでしょうか??

    ラの音は440Hzなので、その倍音は
    440 880 (面倒なので2倍まで)

    ミは純正律ではラの1.5倍なので
    660 1320 (同じく)

 ここで2つの音が同時に鳴ったら
  440と660Hzの音のほかに
    440+660=1100Hz
    660-440=220Hz
    880-660=220Hz
    880+1320=2200Hz
    1320-880=440Hz
  ということで
  元の音のほかに220Hzと1100Hz、2200Hz
  が現れました。

  220Hzは440Hzの半分なのでオクターブ下のラになります。
  1100Hzは440Hzの2倍の880Hzの1.25倍、
  これはオクターブ上のド#(M3)になります。(M3の音程比率は1.25倍)
  2200Hzは440Hzの4倍の1760Hzに対し、1.25倍、
  これは2オクターブ上のド#になります。

このように、二つの音を鳴らせた時にでてくる音もきれいな
音になるのが純正律の特徴です。

平均律だとどうなるでしょうか??
先と同じく、ラの音が440Hzとすると、平均律ではP5は1.4987倍
なので659.4Hzですね。この時点で、純正律の660Hzに対して0.6Hz
ずれています。
もう倍音は考えなくてもいいです。
この659.4Hzと440Hzの差と和だけでも十分ずれてるはずです。
すると
659.4-440=219.4Hz <- オクターブ下の220Hzと0.6Hzずれている
440+659.4=1099.4Hz <- オクターブ上のド#(1109Hz)と9.8Hzずれ
ている。

下側の0.6Hzも気持ち悪いですが、上側の9.8Hzはでかいですね。
ちなみに、ここのドとド#間の周波数差は62Hzなので、1/6半音
ずれたスケール外の音が聞こえるわけです。

ようするに純正律に比べれば、倍音以前の問題なのですね。

このように、純正律は非常にきれいな響きを持つのです。
ではなぜ、今の楽器は平均律で作られているのでしょうか??

結論をさきに言いましょう。転調ができないのです。

たとえば、Aの純正律で調律されたピアノがあります。
Aのkey基準で考えるので

M2上のBのキーを叩くとAの1.125倍ですね。
M3上のC#のキーはAの1.25倍です。

これが転調して、KeyがBになったとします。
そのM2の音を出したいのですから、Bの音の1.125倍の音が
欲しいです。KeyBのM2ですからC#です。
しかし、

Aの純正律で調律されたC#はAの1.25倍
BのkeyでのM2のC#はBの1.125倍

欲しい音はBがAの1.125倍だから
1.125 x 1.125=1.265625
でAの1.265625倍、しかし鳴っているC#は1.25倍

その差は0.016倍
周波数でいえば7Hz 
*半音の差が30Hzほどのところで7Hzずれは大きいでしょう。

響きからいえば純正律はいいのですが、調を変えられない
という欠点から12音階をすべて均一の重みをつけた平均律
というものがうまれました。

先に書いたように、自然な響きより演奏や楽器の作りを優先
させたんでしょうね。

これを作ったのはバッハさんらしいです。彼が1722年に
平均律クラヴィーア曲集が発表されて、現代の器楽に至る
ということらしいです。

クラヴィーアてのはピアノとかのまぁ、当時の鍵盤楽器の
ことで、ようは、平均律で調律したピアノのための曲集と
いうことなんでしょうね。

でも、バッハさんがこれを発表した頃はまだ平均律で調律
した楽器は無かったそうです。
当時は頭のなかだけで作ったんですかね。
かしこい人というのはスゴイものだなぁ。

今でも純正律は人気あるようですが、現代のポップスみたい
な転調、転調の連続(気づかなくてもへんなII-V連結とかで
部分転調してる)にはたぶん平均律じゃないとだめでしょう
ね。

平均律を聞きなれた耳には純正律はちと音痴に聞こえるらしい
です。これも純正律のファンからはそういうことの方がおかしい
といわれるようですが。

もしかしたら、テクノロジー発達してるんだから、シンセサイ
ザーとかで、転調しても全部純正律にあわせるなんてことすれ
ばまた違ったものができるかもですね。

ほかにも、ピタゴラス音律というものもあるそうで、
これはグレゴリオ聖歌で使われてると聞きました。
ピタゴラスが発明したとかいう話ですが、純正律をもちっと楽器
作りやすいようにしたものなんですかね。

  純正律 ピタゴラス律 平均律
P1  1:1     1:1       1:1
m2 15:16 2048:2187    1:1.0595
M2  8:9     8:9       1:1.1225
m3  5:6    27:32      1:1.1893
M3  4:5    64:81      1:1.2601
P4  3:4     3:4       1:1.3350
+4 45:64  512:729     1:1.4145
P5  2:3     2:3       1:1.4987
m6  5:8    81:128     1:1.5878
M6  3:5    16:27      1:1.6823
m7  9:16    9:16      1:1.7824
M7  8:15  128:243     1:1.8885
P8  1:2     1:2       1:2.0000


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