バップからモードへ その2
ビバップ的コード進行の極地がジョン=コルトレーンというサックス
吹きが作った"Giant Steps"です。
コード進行はこうなってます。
Giant Steps
John Coltrane
|B D7 |G Bb7 |Eb |Am7 D7 |
|G Bb7 |Eb F#7 |B |Fm7 Bb7 |
|Eb |Am7 D7 |G |C#m7 F#7 |
|B |Fm7 Bb7 |Eb |C#m7 F#7 ||
はい、さっぱり分かりませんねぇ。 ^^;
実はコルトレーンチェンジといって、長3度の転調を繰り返している
のです。
この曲で出てくる調は G Eb B です。それぞれの間隔が長3度です。
長3度は半音4つです。半音12個でオクターブ上で、もとの音に
戻るのですから、長3度の転調を3回繰り返すと元に戻るのですね。
G -> B -> Eb -> G ですね。
KEYがCだと
C -> E -> Ab -> C です。
これが4度上行のドミナントモーションへの転調だと5度圏である
ように12回転調しないと戻ってきません。
これがGiant Step (でっかいステップ)の理由じゃないでしょうか??
Keyは 下に示すように変わっていきますね。
|B D7 |G Bb7 |Eb |Am7 D7 |
B--+ +---G----+ +-----Eb-----+ +---- G----
|G Bb7 |Eb F#7 |B |Fm7 Bb7 |
---+ +---Eb---+ +-----B------+ +-----Eb---
|Eb |Am7 D7 |G |C#m7 F#7 |
----------+ +----G-----------+ +-----B----
|B |Fm7 Bb7 |Eb |C#m7 F#7 ||
----------+ +------Eb--------+ +-----B----
B->G->Eb->G->Eb->B->Eb->G->B->Eb->B(先頭に戻る)
しかし、慌しいですね。
この、B、G、EbのKEYは3つにそれぞれそれのトニックIとII、Vが
出てきます。
I II V
B C#m7 F#7
G Am7 D7
Eb Fm7 Bb7
この曲は前半、7小節目までと後半8小節目から15小節目に分けられ
ます。
16小節目は、前半へつなぐ部分ですね。
前半はやたらあわただしくキーが変わっていきます。4拍でキーが変
わるですが、テンポがやたら速いので2拍毎に転調てかんじです。
後半は前半に比較するとちとゆっくりになって、各キーでII-V-Iです
で、譜割りも面白いですね。この楽譜、コードだけみたら、たて読み
できます。
前半は3小節 1小節 3小節 のくくりです。後半は3小節 3小節 3小節
1小節のくくりです。
机上で考え抜かれた、数学的につくられた曲という感じがしますね。
さぁ、どうだ、これでアドリブちゃんと弾いて見やがれという態度が
感じられますね。
実際、これが最初に録音された時、ピアニスト(トミー=フラナガン)は
アドリブを上手く弾けなかったようです。最初はがんばって単音で弾い
てるのですが、途中から伴奏みたいなブロックコードになって、トレーン、
助けて〜、てかんじです。で、この後のコルトレーンのソロが、ホント、
火を噴くというかきれまくってますね。
ちなみに、ここではあんましアドリブのこと書いてないですが(私ができない
から)、これはどうやってアドリブすればいいかっていうと、各キーでペンタ
トニック弾けばいいそうです。転調がすごいスピードで行われるわけですから、
フレーズはダイアトニックにしといた方がいいというか、でないと何やってん
だか、分からなくなるんでしょうね。
コルトレーンちゅう人も逸話の多い人で、この人、やたらソロが長いので有名
(1曲15分とかザラ)で、これについては色々面白い話があります。
一緒にやらないかと誘われたウェス=モンゴメリーが"アイツはソロが長いから
ヤダ"といって断った。
マイルスに"どうしておまえはそんなにソロが長いんだ"と聞かれ
"終わり方がわからないんだよね"と答えたら、
"口から楽器をはずせばいいんだ"といわれた。
曲が終わって楽屋に引っ込んでもまだソロを吹いてた、あげくにお店が閉店に
なってもまだ吹いてた。
とゆうような面白い話が色々とあります。
彼に限らないですが、練習の鬼だったようで、この曲もめちゃめちゃ練習した
ようです。
さて、コルトレーンチェンジですが、2つのキーを経由して自分のキーに戻る
わけですから、同じコードが続くときとかに使えたりします。
Key Cで考えましょう。
例えばCが4小節続いたりします。
|C |C |C |C |
ここで、コルトレーンチェンジ入れて長3度で落としてみましょう。
* 下げるところがミソ
|C |Ab |E |C |
さらに、各キーにドミナント7thを前置して、ドミナントモーションを作って
みます。
|C Eb7 |Ab B7 |E G7 |C |
最後のCはサミシイので、その前のG7をII-V分割してみます。
|C Eb7 |Ab B7 |E Dm7|G7 C |
どうです、ジャイアントステップて感じになったでしょう。
ちなみに、この3つのKeyの組み合わせは4種類しかないです。
C Ab E
Db A F
D Bb Gb
Eb B G
これで色々なスケール練習して手癖にしとくといいかもですね。
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