WAVE




   WAVE
   A.C.JOBIM

甘いメロディで大変人気のある曲です。JAZZでも多くとりあげられて
いるボサノバの名曲ですね。

ウェーブのコード進行は以下のとうり
Keyはわかり易くCにしてます。

[I]  
|Cm7 F9 |Cm7 F9 |Cm7 F9|Cm7 F9|
[A]
|CM7    |G#dim7 |Gm7   |C9    |
|FM7    |Fm7    |Em7   |A7    |
|Am7    |G#7    |Cm7 F9|Cm7 F9||
[B]
|Fm7    |Bb7    |EbM7  |EbM7  |
|EbM7   |Ab7    |DbM7  |CM7/G ||


えっと、まずはイントロから、Key Cメジャーで突然Cmかい!!
ということでのっけからメジャーだかマイナーだか分からなく
させるという作戦です。
ジョビンはわりとこういうマイナーとメジャーを交互に出すと
いう技を繰り出すことが多いです。

イントロは、私はここはII-VでCm7 F9ですが、一説によると
(をいをい!!)Cm7 Dm7というのもあります。ま、Dm7はFの代理
なんで同じですけどね...

次はAメロです。ありゃ、さっぱりわかりませんね ^^;
12小節ですね。メズラシ....もしかしてブルーズかな???

やってみよう
ウェーブの進行にブルーズを当てはめました。すると....

|CM7    |G#dim7 |Gm7   |C9    |
 I(C7)   IV(F7)  I(C7)  I(C7)
|FM7    |Fm7    |Em7   |A7    |
 IV(F7)  IV(F7)  I(C7)  I(C7)
|Am7    |G#7    |Cm7 F9|Cm7 F9||
 V(G7)   IV(F7)  I(C7)  V(G7)

なんか、近くないか??
進行はともかく、起承転結感というか、構成がブルーズっぽいですよね。
ということで、これはブルーズの曲だと思います。ホントカ!

もちょっと細かく見ていきましょう。

最初のCM7もイントロのCm7のII-Vから突然くるのがいいですね。
ここは前の小節からラシレソーとくるソがCM7の頭になるんですね。
ま、イントロが変なだけで後はフツーか???

次のG#dim7ですが、なんじゃこりゃと思いますが、実は、dimはルートを半音上げ
のセブンスという顔もあります。I7/I#なんですね。
するとG#dim7はG7/G#ということで、ここでは普通にドミナント(G7)で、ベースだ
けG#にいるということなんですね。
これは、一番最初のコードをAm6とかにして、Am6->G7->Gm7 という進行のベース
を半音でA->G#->Gと落とす時とかによく使います。Am6->G7/G#(G#dim7) ->Gm7です
ね。
同じジョビン作のコルコバードとか、グランジアモールとかはこの進行です。

さて、G#dimの時のメロディは
ミ ファ ソ# シ レ ファ ミ ソと上がっていきます。
ディミニッシュスケールは 全音 半音の繰り返しなのでG#のデミニッシュスケールは、

ソ# ラ# シ ド# レ ミ ファ ソ ソ#

メロディはまんまディミッシュスケールなんですね。

とりあえず、ここはドミナントなんでここにサブドミナントが来るブルーズ
とはちと違いますね ^^;

3小節目から5小節目へのGm7 C9 FM7はドミナントのマイナーから始まるII-V-I
です。
この後でサブドミナントのマイナーへ行って、半音下がってIIImに行ってII-V
これでA7まで来ました。ここまではメロディも素直です。
全体的に、ソ ファ ミと下がる感じですね。

さて、またこの後が変です。Am7から半音下がってG#7と落ちて、イントロのCm7
F9という進行へ行きます。
ここはメロディもG#dimのところを除いて、静かに流れてたのが一転して、大き
く動きます。

まずはA7のところでミ ソ ファ# ファ ミ と半音で落ちてきて、なんかを予感
させて、Am7のところでレレレーと一旦落ち着いたかにみせて、ラ ド レ と
ちょっとあがって、G#7で、ミb ド シb ソb ファ ミb ドとこりゃまた変な落
とし方をしてCm7につなげます。

Cmのスケールが ド レ ミb ファ ソ ラb シb ドとなっていますから、ここで
もうKeyがCmになっていると思っていいのですかね?? CメジャーからCマイナー
への同主調への転調なんで、短3度上(Ebメジャー)に動いたわけです。
じゃあG#7て、Key Cmでは何かというと、CmはEbメジャーだからG#(Ab)はEbの
IVですね。IVはサブドミナントという機能を持ちますが、VImの代理にもなる
んですね(音が似てるから^^;)

ウェーブのAメロは、半音進行と、ドミナントモーションの連続を上手く使って
デミニッシュスケールとか、転調とかの不自然な動きを感じさせないで、自然な
感じをだしてるんですね。

じゃ、先のこれがブルーズかということですが、9,10小節以降での転調先のCmは
Cのブルーススケールといえなくもない(m3 m7が入っている)のでブルーズっぽい
感じがでてますね。

また、構成も 12小節を4つづつ3段に分けた場合。
1段目 静かにはじまって(I)、ちょっとうごいて(IV)、また静かにもどる(I)
2段目 ちょっと変わったところ(IV)からはじまってまた戻る(I)
3段目 大きく動いて(V IV) また戻る(I)
というブルーズの構成に非常に近いものを感じます。

さて、Bメロです。

Fm7で始まりますが、ここではKeyはEb(Cm)が続いてると考えると、フツーに
II->V->Iです。Ebに進行します。
で、次の4小節はこれを1音下げで同じことをします。メロディもコードも1音
下に平行移動するだけです。
すると最初のキー、Cメジャーの半音上のDbになります。

進行していった感はあるのですが、最初のキーに対しては、かなり収まりが悪
いので、無理やり半音下に進行してCM7にします。
このFm7(もとのキーに対してのサブドミナントマイナー)からII-Vで落として
いってIIbに行って、そこで無理やり半音落としてIに持ってくという荒っぽさ
を"秘技 ウェーブ落とし"と名付けました。(^^)

するとウェーブという曲は全体的に

イントロから突然Aメロに移って(CmからCMへの転調)

Aメロでは比較的穏やかにメロディもコードも進行して、
9小節目でメロディが大きく動いてCmに転調する。

2度目のAメロも同じに進行して、Cmで終わる。

BメロはCmのメジャーEbのII-V-Iで始まり、次にこれが1音下に平行移動して
同じようにやり、最後はCの半音上のDbに戻るので、無理やり半音下のCに落
として形にする。

という感じでしょうか??

さて、このウェーブという曲ですが、ジョビンがブラジルを離れて、アメリカ
で単身、仕事をしていた時の曲です。家族をブラジルに残して、言葉も不自由
な国で、しかも生き馬の目を射抜くようなショービジネスの世界で仕事をして
いたのですから、大変だったろうと思います。
当時、ブラジルでは軍事政権下で、帰るに帰れない、帰ったところで、不自由
な環境で仕事しないといけないという状況もあったのかもしれませんが、アメ
リカに残り、仕事を続けていたのはブラジルの音楽を世界の人々に聞かせたい
という使命感があったからではないでしょうか??。

彼の当時のガンバリのおかげでブラジルも私たちも随分得をしてると思います。

また、ウェーブはアメリカを演奏旅行してたときに訪れた砂漠で作ったという
話を聞いたことがあります。
砂漠で海の曲を作るのも変ですけど、砂漠に立ったジョビンは故郷の海岸の砂
浜を思い浮かべたのかもしれません。

この曲の入ったジョビンのオリジナルアルバムはCTIから、サバンナを駆け抜け
るキリンの写真をジャケットに使い、"ウェーブ"というタイトルで発売されま
した。
非常にキレイな写真で、私は、世界中の数あるアルバムの中でも一番ジャケット
が美しいアルバムだと思っています。

昔は、ウェーブというアルバムタイトルから、キリンが走っているのは海岸の
砂浜だと思っていました。^^;

ジョビンは言葉を大切に考えていたようで、自分の曲が英語に訳詞される際、
随分意味を捻じ曲げられていることを悲しく思っていて、英語を猛勉強して、
自分で英語詞を書くようになったとのことです。ウェーブの英語詞は彼による
ものです。

ジョビンさん、ゴメンナサイ。

ポルトガル語の元のタイトルはVou te conderで、ボチコンダーと発音します。
(ホントカ??)、ジョアン=ジルベルトの歌うバージョンが空耳アワーで使われ
てました。
ジョビンの3000曲に上る作品のなかで空耳になったのはこの曲だけですね。

"おちこんだ〜"

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